レースレポート

●2000年5月14日 全日本選手権東地域第3戦 那須モータースポーツランド

・ICAクラス ドライバー:松本真哉


第3戦の舞台は栃木県の那須モータースポーツランド。
コースはロングストレートを持つ高速レイアウト、一般的なカートコースと比べるとかなりコース幅が広い。
コースのポイントは、スタート後、1コーナーの先に待ち構えるシケイン。コース中唯一の超低速コーナーであり、急速にコース幅が狭まるため、クラッシュの名所でもある。
その先はロングストレートとなるため、シケインの立ち上がりは非常に重要。
パッシングポイントはピット裏のヘアピンがあるが、アクセルを踏めるセッティング+速いエンジンがあれば各ストレートエンドでも追いぬきが可能。

実は那須はSUGOの次にたくさん走っているかもしれないコース。1997年に初めて全日本に出場したコースでもあり、これまで3回全日本に出ている。
結果は1回目が11位だった以後はぼろぼろだったが、TITANの特性が合わないという話もあり、VORTEXを使う今年はちょっと期待している。
去年は毎ヒートトラブルが出て、1周もまともに走れなかった最悪の思い出があるが、今年は・・・

今回のポイントはタイムトライアル。2回連続で失敗している。
自分のタイムをしっかり出さないと、本来のポジションに戻るまでにタイヤやエンジンを消耗してしまうし、本来戦うべき相手にそれだけ楽をさせることになってしまう。
そして、もうひとつは必ず勝つという気持ちを持って望むこと。第1戦のような展開になったときに、最後の最後で差となるのは、その意志の強さだと思う。
それにしても、こうして次々と違うコースのレポートを書いてると、全日本選手権という気分が出てくるな〜。

 

金曜日

雨という予報が一転してはれ。
結構日差しも強い。
まずは慣らしだが、3機あるので午前中いっぱいかかってしまう。
慣らしの途中でサイドバンパーが折れるトラブル。しかも、後ろ側の根元からぼっきりいってしまった。
那須のシケインは高い縁石があるが、思いっきり乗らないとタイムが出ない。しかしフレームは当然いたむ。
しかし、サイドバンパーが折れるほどとは・・・おそろしい。
そしてまた余計な出費が・・・フレームにきついコースだな〜。

午後はマシンを新型に変えて、タイヤも比較的良いタイヤを履く。土曜は雨の可能性が高いので、なんとか今日中に良いセットアップを見つけたいところだ。
しかし、走り始めてみると午前中とは様子が違う。タイヤがグリップせず、タイムも遅い。
もしや交換したタイヤがおかしいのか?と不安を持ちながらも、いろいろとセッティングを行っていく。
後でわかったことだが、ダンロップユーザーは午後になって軒並みタイムが落ちたらしい。どうも、タイヤと路面が合わなかったようで、本当にタイヤの使い方が難しい。
いろいろセッティングを変えてコースイン。そして2周目に入ったコース中盤の右高速コーナーで、突然「バキッ」というすごい音ともにスピンアウト。1回転したその視界を、外れたリヤタイヤが横切ったのだった・・・
なんと、リヤハブが真中から真っ二つに折れていた。聞いた事のないようなトラブルが2回続き、すっかり落ち込んでしまった。
思い起こせば去年の那須は練習から5〜6回回収車(コースが長いので止まると回収車が出る)に乗ってる。
ことしはノートラブルで、しっかりやろうと思っていたのに、すっかり出鼻をくじかれた。
おかげで砂利の中に突っ込んだせいでフレームはボロボロになるしブレーキディスクもだめになるし、交換している間にどんどん時間はたち、貴重な練習時間はなくなってしまった。

何とか修正したが、もう1回くらいしか走る時間はなく、仕方ないので、新品タイヤをおろした。
タイムは一応上がったものの、古いタイヤで走った人の0.2秒落ちということで、かなりつらい状態。

セットアップが全然できないしどうしたら良いのかわからない。l
VORTEXでタイムが上がるかと思ったが、あまり変わらないようだ。やはりタイムが遅いのはエンジンのせいではなくてドライバー。
それと、ダンロップタイヤもいまだにわからない。
セッティングの方向性もわからなくなってきて、はまりつつある。
明日は晴れてくれるのだろうか。これは勝つどころではなくなってしまった。とにかくセットが決まらなくても、レースになれば自分が走れるところで精一杯走るだけだ。

土曜日

朝から雨となった。
まずは雨セッティング。ハルナでARROW AX6の雨セッティングの方向性については、しっかり確認しているので、コースにあわせての良いところを探していく。
那須の雨は何回も走っているので、問題なくセットも進み、とりあえずトップレベルのタイムまでこぎつけた。
雨は降ったりやんだりだったが、昼休み頃から乾き始め、午後はドライで走れる状況になった。
レースで使うエンジンの確認などを行ったが、途中でにわか雨が降って路面をぬらし、時間をとられたため、セッティングの確認はほとんどできなかった。
これまでの、ARROW AX6のセッティングデータから予想してのセッティングで新品タイヤでの確認を行った。
新品タイヤを使うとマシンの動きがぐっと良くなり、今までの悩みは何だったのかという感じだ。
ここで自己ベストのタイムを記録し、他チームと比較しても遜色なかったので、ほっとした。
これで明日は雨でも晴れでもレースができそう。

 

日曜日

 

公式練習

開会式が終わったあたりから、雨が降らなくなっていた。そして、日が差し始める。
予報から考えると、はじめから終わりまで雨ということは考えにくいので、多少ぬれていても良いからドライタイヤの皮むきだけはしておきたい。
とりあえず路面はウエットなので、レインセッティングでコースイン。しかし案の定、1周ごとに路面が乾いていく。
とりあえず、レインの感触を確かめておきたかったのだが、遅いマシンに詰まってしまい、タイムが出せなかった。
あきらめ悪く走っていたのだが、路面にはっきり乾いた部分が見え始めたので、ドライタイヤの皮むきをするためにピットイン。
とにかく、皮むきだけということで、レインセッティングのまま。コースイン。しかし、ブレーキングでやけに姿勢が乱れる。原因は左リヤタイヤのエア抜けだった。今日唯一のメカトラブル。
去年の嫌な思い出がよみがえるが、幸いにも止まることなく皮むきをすることができた。

タイムトライアル

今回の課題。タイムトライアルでしっかり自分の本来のポジションにいること。
今回はいつもの自分とは違う。「タイムを出す!!」という攻めの気持ち、そしてマシンとエンジンも調子が良い。
コースイン前もいつものような不安な気持ちや地に足のつかないような感覚はまったくなく、完全に練習通りの走りができた(完璧な走りという意味ではないです)。
タイムは43.9で3位。トップタイムは43.7で大嶋選手だったが、音量ペナルティで5位に。
ポールポジションは僅差で2位のタイムだった岩村選手。
結果、T.T.自己最高の2位スタートとなったが、このわずかなタイム差での2位が、後々大きくひびいてしまうことになるとは・・・。

予選第1ヒート

那須のコースは、アウトスタートはかなり不利。しかし、スタートは無難に決まった。
今回は1ヒート目は、公式練習からつんでいて、比較的調子が良いセカンドエンジン。
1〜2周目は前を突っついていたのだが、追いぬきポイントのヘアピンのひとつ手前のコーナーでの加速でわずかに離れてしまう。
また、はじめから感じていたリヤタイヤのスライドが、タイヤが冷えているせいかと思ったのだが、後半になっても止まらない。
抜けずについていっているうちに、わずかにミスって離れてしまう。
しかし、どうしてもポールで決勝をスタートしたかったので(アウトスタートは不利)、最後まであきらめきれず、チャンスを待ったが、追いつけなかった。そのまま2位でゴール。

予選第2ヒート

1ヒートのマシンの動きから、リヤシャフトに原因があるということで、シャフトを交換。同時にエンジンもメインに載せかえる。
このヒートは1位をとっても岩村選手が2位にはいれば、結局予選は2位スタートになってしまうので、展開を見てタイヤを温存ということにならざろう得ない。
ペースを抑えると、リズムが狂うので、あまり好きではないのだが、ハイグリップタイヤの場合こういうことも必要になる。
スタートで出遅れて、「しまった」と思ったら、あっという間に2台にインに入られ、4位に落ちてしまった。
しかし、セッティングの変更は正解でマシンの動きはとてもよく、さらにメインのエンジンも絶好調。すぐに3位に上がる。さらにポジションアップをしようかと思ったが、2位がトップの岩村選手を攻めている。
そのまま抜いてくれれば、自分がポールをとれる可能性が出てくるので、あえて抜かないで、タイヤを温存しながら2位の選手を精神的に応援することにした。
岩村選手も揺さぶられたためかタイムも安定せず、2位の選手が抜いてくれるのではないかと期待が持てたのだが、結局抜けないようだ。
自分のマシンは絶好調で、タイヤを温存しながらも追いつくので抜こうかと思ったが、2位でも3位でも決勝は2位スタートだし、後ろを見れば誰もついてきていないので、リスクは犯さずにそのまま3位でゴールした。

決勝

2ヒート目は余裕をかましたが、実際は余裕などない。アウトスタートはやはり難しく、プレッシャーが掛かる。
2度のやり直しの後、スタートが切られる。すぐにマシンをインに寄せるが3位のドライバーが鼻先をねじ込んでくる。こちらも無理無理1位と3位の間にマシンをねじ込むが、前のマシンと接触し、フロントカウルが曲がる。
ここでリタイヤかと一瞬頭をよぎるぎりぎりの駆け引きで、何とか2位をキープ。
危険だがこのコースではこれくらいやらないと、アウトスタートはつらい。
しかしポジションキープができればこっちのもの。
2ヒート目からは完全にこっちのペースが上回っている。1周目のヘアピンコーナーで、狙いすましてインをさし、トップに浮上。
前に誰もいないコースは実に気持ちが良い。後はVORTEXパワーでぶっちぎるだけ!!
のはずが、2周目の1コーナーで完全にインに入られてしまう。
結果論だが、もっとあそこで注意してインを牽制しておけば・・・
抜き返されたものの、ペースはこちらが完全に速く、ついていくのは楽なのだが、後1歩、どうしてもあとひと伸びがなくてストレートエンドで並びかけるが抜けない。ヘアピンでもラインを締め気味にされて完全にインには入れない。
バトルを繰り返してると、後ろが追いついてきてしまって、混戦になるので、ここは仕掛けないで2台で逃げてからバトルをはじめたかったのだが、トップのペースがあまりあがらず、後ろを見れば大嶋選手が3位に上がってきていた。
これでは、バトルしないで走っていても確実に追いつかれてしまうので、さっさと抜いて引き離さなければ行けないと判断し、攻め続ける。
しかし、ヘアピンでインに入ったところで、締められて接触、わずかに失速したところを2台に抜かれてしまい、4位に落ちる。
大嶋選手がトップに立って逃げられたら、追いつくのに時間がかかってしまうのでやばいと思ったのだが、こちらもやはりトップの岩村選手を抜きあぐねている。
ここは慌てるなと自分に言い聞かせてから、落ち着いてタイミングを合わせ、最終コーナーで3位に上がり、ヘアピンで大嶋選手を抜いて再び2位へ戻る。
ここまではできるのだが、なぜか岩村選手が抜けない。またしても前半と同じような展開で、バックストレートでは後一歩のところまでは行くのだが届かず、ヘアピンはインを閉められる。それならばと、最終コーナーで仕掛けたが、これもドアを閉められそして、そこで加速しそこなったために大嶋選手に抜かれて3位へ。
残り周回は5周ほど。
後ろを見ると、少し離れてもう1台来ている。前では大嶋選手が岩村選手に仕掛けている。
ここで、俺までごちゃごちゃやってへたすると、もっと順位が落ちてしまう。
今回は絶対優勝が目標なので、2位ではだめ。絶対勝つとなると、まずバトルの台数を減らさないといけない。とりあえず、後ろとの距離をとるという意味も含め、2周ほど様子を見ることにした。
大嶋選手が盛んに岩村選手に仕掛けている。岩村選手のドア締めっぷりから考えて、前の2台が接触する可能性が高いと踏んでいたので、虎視眈々とチャンスを待つが、どうも仕掛け方が中途半端。
残り3周になって、大嶋選手は岩村選手が抜けないと結論に達しつつあった。
しかしここで2位に上がろうと思えば、大嶋選手はヘアピンのインを閉めて走っているので接触覚悟で突っ込まないといけない。が、そこで接触するにしろしないにしろ、無理に突っ込めばそこで失速してしまいトップとの間隔が開いてしまう可能性がある。
ここで迷いが出てしまった。
無理に抜くか、前の2台がバトルしている隙を突くか・・・
大嶋選手は頻繁に前に仕掛けているので、無理に抜くリスクを犯すよりバトルの隙をつくほうを選んだ。
恐らく最終ラップ、大嶋選手が最後の勝負に出るはずで、その場所はヘアピンと踏んだ。
最終ラップのヘアピンで、無理やりインを刺す大嶋選手とかぶせる岩村選手、そのイン側を2台まとめて抜くというのが筋書きだったのだが・・・
読み間違えた。
結局、大嶋選手のねらいは最終コーナー。
俺はヘアピンをたちあがった時点で、優勝はだめでも2位はとるつもりで、最終コーナーでで大嶋選手のインに飛びこむ体勢だったのだが、大嶋選手も同じ考えで、インに入っていく。
さすがにインのインに入るスピードはなく、普通のラインに戻して、前のもつれる2台に加速勝負を挑むが・・・
3台並んでたちあがったホームストレート・・・。無常にも優勝は大嶋選手。
なんと、0.001秒差で岩村選手が。2位。そしてトップから送れること0.160秒。マシンが並びかけたところでのゴールラインとなってしまったのだった・・・・。

なんと、2位さえもとれずに3位とは・・・情けない。
とてもショック。
リタイヤか優勝かどっちかだというつもりだったが、まあ、リタイヤするよりは3位で良かったと思う。
ランキングも東地域の2位に上がった。勝負はこれから!!

今回は、自腹で斎藤裕之君が手伝いに来てくれ、ふじさわさんも応援に来てくれました。
マシンに関しては石山さん、入江さん、斎藤君と3人がかりでやっていただき、「絶対トラブルを出さない」という気持ちが伝わってきて、安心してレースをすることができました。どうもありがとうごさいます。
レースに集中できたにもかかわらず、結果がついてこなくて申し訳ないですが、この経験は必ず次のレースに生かします。