レースレポート

2002年11月3日 全日本選手権東西統一最終戦
                             茂原ツインサーキット

FAクラス (27台)

ドライバー:松本真哉

東西統一最終戦の舞台は千葉県茂原市の茂原ツインサーキット。東地域、西地域に分けて行われている全日本FA、ICAクラスのそれぞれランキング20位までのドライバーが集まって最終ランキングを争う。
コースは全長1km強の高速コース。幅が広く高低差があり、超高速コーナーから低速ヘアピン、高速シケインなどの多彩なコーナーが連続するダイナミックなレイアウトで、攻め甲斐があり、また、走っていて気持ちが良い。

今回で東西統一戦に出るのはナント5回目ということになる。我ながらよく続いたものだと・・・・。
東西の全日本上位ランカーが集まるだけに、今までにいい思いをしたことは一度もない。その上去年はアクシデントで決勝不出走という悔しさを味わったわけだが、去年の予選までの走りでかなりの手ごたえをつかみ、今年のシーズンにもつながって今に至っている。これまでの全日本キャリアの総決算の走りをこのレースにぶつけたい!!という気持ちで仙台を出発した。

 

 

                木曜日

今回も木曜日はエンジン慣らしとコースに慣れるための体ならしのつもりだった。
しかし、天気予報では金曜日は雨ということで、予定前倒しでマシンのセットアップなどのメニューをこなすことになった。

仙台から、渋滞などもあり約7時間半の旅。10時少し前にコースに到着。
午後からはエンジン慣らしを2機やりながら、コースを思い出し、マシンセットアップを始める。
前回に引き続き、今回もEIKOさんから2タイプのフレームを貸してもらえたので、2台に乗って比較し、レース用のフレームを選択。
その後、セッティングを少々やり、フィーリングもタイムもまずまず。順調に初日を終えた。

 

金曜日

予報どおり朝から雨。

小雨だったが11月の雨は冷たい。
気温も10℃前後という感じか。

土日が晴れの予報ということもあり、走らないチームも多かった。2日後の天気予報がそんなに信用できるのか??? 俺には少々疑問だったけど、まあ、分からないでもない・・・いややっぱり分からない。少しでも有利になることなら何でもしたいと思うのだが。
まあ、さすがに、FAクラスの上位ランカーは結構走ってた。

我がチームも、前回の雨レースでの不安点があることと、俺自身が走りたかったということもあり、朝から夕方までバッチリ走らさせていただきました(笑)

まじめにセッティングをした成果で、いいセッティングが見つかり、タイムも上々!!レースではいつ雨が降っても大丈夫!!(笑)

 

 

土曜日

これまた予報どおり雨は上がり、走行時間までには路面もドライに。
雨から晴れへ、気持ちも走りも切り替えてドライセッティングを煮詰める。

朝一は雨の影響があったものの、タイムも木曜日のベストタイム近くまで一気に持っていけ、いいフィーリングに。
その後、USEDのいいタイヤを履いてタイムを大幅に上げ、午前中のほぼトップタイム(たぶんね・・・)で上々の仕上がり。この調子なら想定していたトップタイムまでいけそう。っていうか、前日のトップタイム出せるかも?
と浮かれたのが運の尽きだったのか???

午後からさらに発展させるべく、新しいセッティングにトライしたところタイムが伸び悩み始める。
路面が変わったからなのか、俺が浮かれているからなのか?
多分両方だろう。
走りのリズムが乱れてきている気もするし・・・・はっきり言って調子崩し気味。

やはり「調子がいい」と思ったのが運の尽きだった。そうならないようにと注意していたのに、結局タイムを出そうということに気持ちが捕われてしまっていた。本当ならここはタイムを気にせず、いいタイヤを履いたときにタイムが上がるようなマシンにじっくり仕上げていかないといけない局面だったのに。
ちゃんとやることやんないと、俺は若いもんのようにホイホイいいタイムは出せんのよ。

そんなわけで最終的にNEWタイヤを履いたにもかかわらず、午前中のタイムと同じところまでしか行かず。

いつもだと、チョイ遅いところから始まって、最後の最後でそこそこのところまで仕上げるのだが、今回はそこそこのところで停滞してしまっている。タイムのレベルはいつもこんなもんだけど、いつもとは流れが違う。いつもはレースになっていいエンジン、いいタイヤ、いいセッティングがひとつになればタイムは上がるという自信があったのだが・・・。

正直、マシンの仕上がりにはいまひとつ自信が持てないでいた。

 

日曜日

天気は晴れ。気温は寒い(笑)
レース日の朝は早いが、多分5℃くらいだったろう。
昨夜振った雨もほぼ乾いて、問題なくドライで走れるようだ。

 

公式練習

仕上がりに不安を持っている状況だっただけに、なおさら落ち着いて走ることを心がけた。
タイムを出そうと焦れば、走りのリズムは狂うばかりだからだ。むしろ、タイムが少し落ちても正確に走って、タイムトライアルにむけてリズムを整えることの方が重要だ。

レース用タイヤの皮むきをし、練習用タイヤに交換後、マシンセッティングを2つ試した。
落ち着いて走ってマシンの動きを確かめた・・・・つもりだったが・・・・正直言って、セッティングの違いが余り分からなかった。情けないことだ。
今日は乗れてないカモ・・・。

「自分の最高の力をレースで出すにはどうすれば良いか」ということをいつも考えてきて、それが出来るような気がしてきていたのに、ここに来てなんということか・・・。

タイムはトップから0.3秒落ち。
調子がイマイチにしては、まあ、悪くないか。
ただし、この0.3秒の間に10数台がひしめいているのは言うまでもない。

 

 

タイムトライアル   

セッティングはいいタイムが出た時のものに戻した。まずは走りのリズムを取り戻すことに集中する事にした。
このセッティングで出たタイムでも充分いいポジションにつけるはずだ。

さすがに最近はタイムトライアルの緊張も少なくなり、かなり自分の走りが出来るようになりつつある。一発集中でタイムも上げられるかも、という期待もしつつ、タイヤのグリップが出てくるのを感じ取りながらコーナーを攻めていく。
しかし、「???」グリップがいいはずなのになぜか旋回するのにスピードを落とさないと1コーナーを曲がりきれない。タイヤが良い状況ではほぼアクセル全開でいけたはずなのに・・・。

さらに、高速の最終コーナーでも・・・。
向きを変えてアクセルを全開にしていっているのにどんどんフロントが外側に逃げていく。

あれあれあれ???なんでだ???

タイヤが温まっていないからかもと思ったが、2周目も良くならない。
中間のタイムも良くない。
残りの区間、とにかく頑張ろう。と思って走ったら良いタイムが出た。
と、思ったら勘違い。
ナント思ったタイムより1秒も遅い。

頑張ってうまくまとめた周にさらにタイムが落ちるなんて思わないでしょ?そりゃタイムも見間違うわ!!

そして2周目のチェッカー後、異変に気づく。
ステアリングがなんか変・・・・それにステアリングを左に切らないとまっすぐ進まない・・・・。

そしてその症状はクールダウンの1周の間に徐々に進行していき、ピットインする時には、思いっきり左に切らないとまっすぐに進まなくなってきた。なにかが壊れたのかもしれないが、とりあえずピットには戻れるだろう。
そして、通常よりゆっくりピットロードに入ったとき、ついにフロントで何かが起きた!!
そしてマシンはいきなり右に切れ込みクラッシュパッドに引っかかってドカ〜ン、一回転!!!

どうやらステアリングタイロッドが緩んでしまったらしい。
徐々に緩んでいき、徐々にフロントのホイールアライメントが狂い、そのためにハンドリングがおかしくなっていき、最後はついに・・・ということのようだ。

スピードを落としていたためにフレームまでダメージは及ばず、タイロッド、ピロボールの交換だけで修復できたものの・・・
タイムトライアル結果は27台中25位。厳しい状況だ。

 

予選第1ヒート(12周)   

このコースは抜きどころも比較的多い。うまくやればジャンプアップも可能だ。
スタートはまずまず、少し順位も上がったと思うが、ごちゃごちゃでよく分からない。

タイヤのエア圧の設定がやや低かったようで、序盤苦しく、抜かれたりもしたが、3周目あたりからいい感じになってきて、追い上げモード。
インフィールド区間でのマシンの動きはイマイチだったが、高速区間は抜群に速い。

最終コーナー、1コーナー、2コーナーまでの区間で次々と抜いていくが、終盤、残り周回で後2台いけるか?
と焦って仕掛けてしまい、抜きあぐねた瞬間に2台に抜き返されてしまう。

最終コーナーで1台を抜き返し、結果は17位。
判断ミスでチョット損した。

タイムはトップグループとほとんど変わらない。決勝までに追いつけるか!?

 

予選第2ヒート(12周)

セカンド登録のエンジンをのせ、セッティングを小変更。

スタートはうまくいったが、2コーナーの混戦で前のマシンがクラッシュしそうになり、よけている間に抜かれてやや順位を落としたか。
マシンセッティングは当たったらしく、エア圧もよく、序盤から動きが良い。

1ヒート目は抜けなかったインフィールド区間でもバシバシ抜いて上がっていくと、なんとトップグループが見える!!
そして、トップから連なる10数台の集団に追いついた!!
しかもトップが離れていかない。つまりトップと同じペースで走ってるわけだ。

キタキタキタキタ!!熱くなってきた〜〜!!

と、そこまではノリノリだったのだが、タイヤも熱くなってしまったらしく(オチをつけるなと自分に言いたい)、後半はペースが若干落ち、ついていけるが抜くまでにはいたらず、集団の後ろ、11位でゴール。

 

決勝(22周)

決勝のスタートは14番手。
アウト側だが、1コーナーが右、2コーナーが左というレイアウトなので、インアウトの有利不利はないに等しい。

セッティングはいい感じだったので変えず、やや上がりすぎだったエア圧のみ再調整。
エンジンはストレートが速かったメインに載せ替え。

スタートは無難に決まり、順位キープ(たぶん)。

スタート直後、マシンの動きはなかなかよく、前のマシンにどんどん追いつくが、今一歩抜くまでには至らない。
決勝は長い。とにかく、序盤のクラッシュなどにはまらずに行けば、後半勝負ができる。タイヤのエア圧も後半勝負を見込んで低めにした。目標は最低でもシングルゴールでポイント加算だ。

焦らずにチャンスをうかがうが、これがなかなか抜けない。このままじゃ後ろがつまってきちゃう・・・。
2〜3周目、そろそろ無理にでも抜かないとヤバイと思い始めたが、逆に相手がのペースが上がりだし、俺のタイヤが食いつかなくなってきた。(後で計ったところ、エア圧設定が低すぎた・・・らしい)
そして当然のごとく抜かれる。

ウワ〜〜〜、これは上がっていくどころじゃないカモ。いやいや、タイヤが辛いのは周りも同じハズ。ここでミスらずに走るのが肝要だ。

ぐっとこらえて慎重に前走者をパスしていく。
立ち上がりが悪いためスリップストリームもなかなか有効に使えない。

中盤までに何とか自分よりペースが遅い選手は抜ききって、順位は11位。
やっと前を追う体勢になり、少し離れた2台を追う。
自分の感覚では当然追いつけるハズなのに、どう頑張っても追いつけない。エア圧が合っていないせいか、丁寧に向きを変えてやっても加速していかないのだ。
ロガーを見ると、ペースは確かに厳しい。
しかし、タイヤがこれ以上良くなることはありえないし、良く見れば前のマシンもかなり辛そうな感じでもある。
バトルをしているからチャンスもある。
残り周回はまだ結構ある。
ヨシ!! ミスを削って1周0.1秒ずつでも詰めてやる!!
と、気を取り直しひたすら走る、走る、走る。

走っても走っても、差は開かないが追いつきもしない。このとき最後のレースだということが頭をよぎった。
思っていたようなポジションじゃないが、とにかく、思いっきり自分の走りをぶつけるんだ、と。
力いっぱい走って、力を出し切ったという気持ちになれるように。決勝を走れなかった去年レースの分まで。

しかし、残り2周というところでついに後続に追いつかれてしまう。
コース後半のヘアピンでインに入られる。
やや強引な感じで止まりきれないスピードで入ってきたので、俺はラインをクロスさせて立ち上がりでならび次のシケインに進入。そして、クラッシュ・・・。 形としてはぶつけられたのだが、引くに引けず、意地になっていた俺の判断ミスだったのかもしれない。が、それは結果論だ。
レース直後は判断ミスだったかもと思ったが、今は安易に引いて無難にまとめるより、結果はどうあれ意地を張り通してよかったという気がしている。寄せられたからって引いていたのではレースにならない。突っ張るところは突っ張らないと。

クラッシュの瞬間、去年の悪夢が頭をよぎった。またゴールできないのか?ポイントなしか?? しかし、 クラッシュして1回転した結果、幸運(?)にもエンジンが止まらずに走りつづけることが出来た。
ハンドルポストが曲がり、3台に抜かれたが、何とかのこり1周を走りきり14位でゴールとなった。

しかし、結局ポイントは取れなかった。
東西統一戦は結局5年連続で残念な結果となってしまった。
今回のレース、いい結果+いい走りが出来れば、もしかしたら来年・・・という気持ちもかすかにあったのだが、これで終わった。

 

この最後のシーズンをいい形で終わりたかったが、なかなかうまくはいかないものだ。
悔いの残らないようにと頑張ったが、結局悔いが残らないで辞められる人なんてほんの一握りで、俺はその中に入れなかったのだと思った。
悔しくて悔しくてしょうがない。
でも今回のレースの中で、前日から少しリズムが悪くなってしまったことも、いいセッティング、いいタイムが出し切れなかったことも、1ヒート目の判断ミスも、決勝でのエアセットのミス(?)もクラッシュも全部一生懸命、目一杯やった結果のこと。もう一度やってもこれ以上のことは出来ないだろう。だから、今は『しょうがない』の一言に尽きる。

とはいえ、今まで夢のまた夢だった『全日本優勝』を達成できた今シーズンは、今までのシーズンと比べるとかなりいいシーズンだったと思う。
ま、デビュー戦で勝っちゃう人や、何連勝もする人もいて、そんな人たちと比べると1勝で終わってしまったのはチョット悲しくもなるけど、俺にとっては奇跡に等しいことだったのさ。
優勝は奇跡なんて言ってる時点で程度が知れるかな・・・、もっと高い目標を持っていたのでやっぱりここで終わるのは残念無念というのが正直な気持ちです。

 

・・・と、ここまでがレースの翌日の夜書いたそのまんまなのだが、3〜4日ほど過ぎて、徐々に気持ちが変わってきた。
いままで『レースは結果がすべて』という言葉を肝に銘じ頑張ってきたけれども、自分の持てる力をすべて出し、挑戦を終えた今、結果だけでないものが自分の中に残っていると感じる。
確かに知らない人が結果だけを見れば、「不安定で、突出した速さもないが、まぐれで一回勝てたドライバー」ぐらいにしか見られないだろう。今まではそんな風に思われることが悔しくてたまらなかった。しかし、今はそんな他人の評価に左右されない自信を持てたように思う(そりゃ他人の評価は気になるけどね(笑))。

今まではレースウィークのなかで焦りや不安に捕われてしまうことがあったが、今シーズン中盤以降、自分を見失うことが少なくなった。そして、地に足をつけて自分をコントロールし、今そのときすべきことに集中できるようになってきた。その結果、レース日までにマシンセッティングを仕上げ、また、ここ一番で自分の力を発揮出来るようになってきたと思う。特に結果もさることながら、練習セッションやレースの各セッションで常にいいタイムを出しつづけられたことが、自分の中ではとても大きな自信となった。
その後も、相変わらずなかなか噛み合わないことが多々あり、結果にはあまり現れなかった。そんな時、これまではその度に自信を失って落ち込んでいたが、今年は「噛み合わなかっただけだ!自分の力はこんなもんじゃない!!」と思えるようになった。レース結果には現れないが、自分の中にだけはその手ごたえが残っていた。

また、ここまで戦ってこれたのは、チームの力が本当に大きかったと思う。
全日本の経験もいつのまにか結構長くなったが、優勝出来るかどうかというレースが出来るようになった頃から、チーム力の重要性というものを強く感じるようになった。
モータースポーツは個人競技であり、その中でもカートはとりわけドライバーの力の占める割合の多い。しかし、高いレベルで戦う時には、ドライバーの力だけでは対応しきれない事態が多々あった。特に俺などはドライバーとしてまだまだ未熟者。いよいよ差し迫ってくるとセッティングの内容や進め方まで考える余裕がなかなか持てない。そんな時、安心して作業を頼めるメカニックがいたからドライビングに集中できた。そしてドライバーの能力を補ってセットアップを進め、レースを戦えるマシンに仕上げられる、また、セッティングなどで決断を迫られる状況で、的確な判断が出来る、そんなチームのサポートがあったからこそここまでこれたんだと思う。

悔しいレースもあったけど、残念だなんてとんでもない。今年の結果はまさに石山監督をはじめ、チーフメカの入江さん、1、2戦のメカで、その後もいつもアドバイスしてくれた高須さん、SUGOでメカをしてくれた裕之君、最上川に来てくれた大西君、自費で手伝いに来てくれた慎吾君、そして応援に来てくれて、手伝ってくれたチーム員のみんな、さらに「頑張ってね」と声をかけてくれた人たち、その全員の力でつかんだとても価値あるものだ。すごく誇らしい気持ちだ。
そんなANNYというチームで今年1年間全日本選手権を戦えたこと、そして、お金には替えられない貴重な経験が出来たことをとても幸せに思う。

 

レーシングチームANNY 松本真哉 2002年全日本選手権FAクラス  

第一戦 もてぎ   9位
第二戦 ハルナ   11位
第三戦 SUGO   1位
第四戦 那須    4位
第五戦 最上川   2位
第六戦 新東京   15位
最終戦 茂原    14位

全日本FAクラス ランキング7位!!
応援ありがとうございました!!

 

そして最後に、

3年間に渡ってメカをしてくださった入江さんありがとうございました。
石山監督、長い間のご指導等々言葉では表しきれませんが、本当にありがとうございました。

また、応援にきてくれた皆さん、遠く仙台その他から応援してくれた皆さん、今年1年間の応援ありがとうございます。

サポートしてくださったEIKO松堂社長はじめ、高須さん、前原さん、大谷さん、そして、ブリジストン様、ワコーケミカル様、NGK様、1年間ありがとうございました!!

 

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