レースレポート
2002年6月2日 全日本選手権第三戦 スポーツランドSUGO
FAクラス (20台)
ドライバー:松本真哉
いや〜ついに優勝することができました。
もともと本気でレーサーになりたいと思ってステップアップしてきましたが全日本の壁にぶつかり、これまで何度も、自分の能力に限界を感じたり、金銭的な理由で、本気でレース(全日本に出ること)をやめようと決心したものですが、その度にレースに戻ってこれたのは、僕をかってずっと支えてくれた石山さんやEIKOの松堂社長の信頼やサポート、そしてチームのみんなの応援があったからこそです。
今回、念願の全日本での優勝を達成することができたのは、ひとえにそんな皆さんのおかげです。皆さん本当にありがとうございました。
レースの余韻に浸りきったまま書きましたのでちょっと変かもしれませんが、レースの時の雰囲気などを感じてもらえれば幸いです。
前回のハルナはかなり残念な結果になってしまったが、思っていた以上に精神的ダメージが大きくなってしまい、非常に気持ちの切り替えが難しい状態になっていた。
プレッシャーが何重にも重なっているような感じがする。全日本ランキングを残すという目標に向かって、少しでもポイントを稼いでいかないといけないSUGOで、一歩間違えばぼろぼろのレースをやりかねない。そしてシーズン半ばで参戦断念。そんな危機感も感じていた。
レース前は自分のそんなメンタル面をレースに向けていい状態に持っていくにはどうしたらいいか。そのことをいろいろと考えた。どうすればいいかは大体わかっている。後はそのとおりにできるかどうか。自分の心との戦いでもある。
第三戦の舞台は1周1000mに15のコーナーを持つ超テクニカルコースのスポーツランドSUGO。ホームコースだ。
ホームコースとはいえ、全日本のトップドライバー相手ともなればアドバンテージなどほとんどない。全日本の特殊なラバーグリップ路面はレースウイークしかできないし、どの選手も短時間でセットアップを合わせる力を持っているからだ。
じゃあ、ホームコースの有利さって何だろう?
普通は”慣れている”、”セッティングデータがある”、”走行ラインがわかっている”などなど。
そんなことを考えていたら気づいた・・・。今年の新型ARROW AX8でSUGOを走ったのが、シャーシのシェイクダウンとレース前のエンジンならしの2回だけだ!!という事実。
セッティングデータがない!!
そこでもうひとつのホームコースの利点”事前練習ができる”ってことを最大限に生かすしかない。
レース前週の土日あわせて180LAP走りまくってセッティングデータを収集。さらに木曜からコースに入ってエンジンならし&体ならし(笑)をすませて金曜からの練習に備えた。
金曜日
今回は4クラスのレースが開催されるため、走行時間が少なくなっている。
一日20分×5セッションしかないので1回1回を大事にしていかないといけないのだが・・・
始まってみると、午前中はエンジン慣らしの選手が多すぎてなかなかクリアラップが取れない。そのため、マシンのセッティングもなかなか進まず、ラップタイムもいまいちだった。
午後からは本格的にやるぞ〜!! と気合を入れていたところ、突然の雨。あっという間にレインコンディションになってしまった。仕方ないので雨のセットアップをしておくかと思ったら止んだ。乾くのを待つ間に1セッション終わってしまった。強い日差しが戻ったため、路面はみるみる回復し、午後の2回目からはドライでの走行ができた。
やっと本格的なセッティングに入れる。
まずはシート位置、シャフトの交換など、大きなところを変更しながらマシンバランスの調整。
最終セッションにはマシンの動きも比較的いい感触が出てきた。
ラップタイムは50秒5。
この日のトップタイムは50秒0くらいらしいということで差があるが、俺の方ははかなり減ったタイヤでのタイムなので、タイム差ほどの遅れはとっていないと思う。
とはいえ、やはり厳しい戦いだということを実感した。
土曜日
前日からさらにシート位置を変更したが芳しくない。ここでシート位置修正のために一時的に背中にバスマットを入れて走ったところ、アバラに激痛が!!
カートはコーナリングの横Gをアバラで受けとめないといけないわけだが、シートにバスマットを入れたところ当たり所が悪くなったようだ。最初のセッションが終わったときには、カートから降りれないほどに痛くなってしまっていた。
コーナー数が多く体にもかなり厳しいコース、アバラが痛いとなるとまともに走ることすら難しい。
急遽アバラのクッションなどを工夫し、何とか走れる状態にはなったが、後に響くとかなりまずいことになりそう。
午後はレース登録予定のエンジンのチェックをしながらフレームの細かいセッティングを詰めて行く。
ハイグリップタイヤを使う全日本では、乗りやすさというのも非常に重要になってくる。
乗りにくくてもミスをしないドライバーであれば何とかなるかもしれない。
しかし、いざレースとなれば、抜いたり抜かれたり、プレッシャーをかけられればミスすることもある、そして、体にきついコースだけに疲労が重なり、そして集中力がなくなり、タイヤが減ってさらに乗りにくいマシンになっていく・・・乗りにくいマシンは疲労もタイヤの磨耗も加速させてしまう。
前回ハルナの教訓を生かし、今回のセッティングの大きなテーマは「乗りやすさ」だ。
自分の思い通りに動くマシンがあれば、激しいレースの中、多少タイムが悪くても競り勝つことができる。いいレースができるはずだ。
地元でもあり、結果を求める気持ちも強いが、あえてそれを抑えていいレースをすることを目標においた。いい走り、いいレースができれば結果が出なくても不完全燃焼のような悔しさはないはずだし、何より、いいレースをしていれば必ず結果もついてくるという気持ちもあった。
結果の出ていない今シーズンだけに、タイムが出ないと焦りの気持ちに捕らわれてしまいがちだが、とにかく自分を抑え、タイムよりも自分のイメージ通りの動きをするシャーシを求めてセッティングを進めていった。
そのイメージ通りの動きが得られれば、いいタイヤを使ったときに必ずタイムアップができるはずだという自信はあった。
そして最終セッション、新品タイヤを使っての最後のセッティング確認。
それまでのセッティングの成果もあり、大幅にではないがタイムアップして50秒2
さらに最後のセッティング変更が当たり、50秒1を記録。それにも増して、新品タイヤにしてもマシンのバランスが変わらず安定して乗れるのがいい。
最後に乗せたエンジンも抜群に速く、とりあえず自分の目指すレースができそうなセッティングが出せた。
土曜日のトップタイムは49.8らしい。少し差はあるが、俺もトップ5には入っているようだ。どのみちレースになればタイムは落ちる。タイヤも減る。そこで今日のセッティングの成果が出るはずだ。
決勝までにレースを組み立てていき、勝負は決勝。
そのときどこにいるかはわからないが、「これなら何とかいいレースをできそうだ」という気持ちでコースを後にした。
日曜日
朝、なんだかレースと全く関係ない夢を見て起きた・・・。
起きてしばらくしてから「あ・・・今日レースだ」って感じ(笑)
天気は快晴。前夜に雨が降ったようだが、ほとんど乾きかけている。この分ならレースに影響はないだろう。
前日の予報は21℃くらいだったが、今朝TVでみたら25℃くらいになってた。
暑いほうが好きなのだが、暑くなるとタイヤの空気圧設定が難しくなる。どっちかといえば涼しいほうがいいな〜などと思いながらコースに向かう。
コースにつく直前思い出した・・・テーマソングを聞くのを忘れてた(笑) テーマソングはB'zの『F・E・A・R』だ。当然歌う(笑)
公式練習
路面もすっかり乾き、各クラスの走行により路面のグリップもほとんど回復したと思われる。
公式練習ではまず土曜のフィーリングを確認し、エア圧とセッティングの小変更を試す予定。
セッティングが決まっていないと、15分の間にいろいろ試さないといけないという焦りが出て、ついつい走りも雑になりがち。今回は、特に気持ちを落ち着け、練習日同様タイムよりマシンのフィーリングを感じることを意識して望んだ。
タイムトライアルを想定して公式練習用タイヤも新品タイヤを使用。
一周目はエンジンの熱いれなので、はやる気持ちを抑えて走る。いつも新品タイヤを履くとタイムを出そうとがんばりすぎてしまうので、この抑える気持ちがよかったのかもしれない。
タイヤのグリップを感じながら丁寧にマシンを動かす。すぐに前日のベストタイムと同じ50.1を記録。
なかなかいいフィーリングだ。マシンの動きも前日の最後と変わらずいい。そして俺も乗れてる感じだ。セッティング変更の影響もすぐ感じられるので、こまめにピットインしてセッティングを確認できた。
タイムははじめに出した50.1がベストだったものの、セッティング変更の結果いい傾向も見つけられたし、前日のセッティングのままで大きな問題がないことが確認できた。
トップタイムは49.8のようだが、50.1でも充分前のほうにいける状況のようだった。
タイムトライアル
タイムトライアル前にリヤシャフトが曲がっていることが発覚!!
そのままでも走れるレベルだったが、急遽交換することを選択。
基本的には同じシャフトだが、「同じはずなのに交換したらマシンバランスが狂った」なんてふうに、ちょっとしたことが裏目裏目に出るのが今までのパターン。一抹の不安を覚えながら作業を見守っていた。
出走順は15番目、4組目。20台中なので後ろのほう。いつも前のほうを引く俺にしては珍しい。
先に有力選手が何人か走る。最初の組では思ったよりもタイムが伸びない。前のクラスのFSAのタイヤのゴムの上を走るからかな?などと思ってみていると、その後の組では49秒台に入り始め、トップタイムはその時点で49秒7。おお・・・さすがに速いな〜などと他人事のように思ったりした。
以前はタイムトライアルというだけで心臓バクバクで、そうなるといくら落ち着こうとしてもダメだったものだが、最近はそういう意味ではだいぶましになった。それでも最近のレースの中では緊張していたかもしれない。しかし何千何万周も走りこんだホームコース。「練習通り、いつも通り走ればいい!!」と何度も自分に言い聞かせた。
コースイン。
いつもはタイヤを暖めながらグリップを確かめるために目いっぱい飛ばすのだが、今回は公式練習と同じく丁寧に走り出す。さすがのハイグリップタイヤもコースイン直後はグリップが出ない。静かにグリップを確かめながらアタックラップに突入。
1周目はある程度大事に行って押さえのラップを出しておかないといけないという気持ちからか、ブレーキがついつい早めになってしまいコーナーの中のリズムがよくない。3箇所くらいミスしてしまい、余りいい1周目ではなかった。アルファーノ(データロガー)を見ると50秒6とでている。うわ〜やば!!でも焦っちゃだめだ!!と思う。(このタイムは1周前のタイム表示で実際は49秒782だった)
まずった〜・・・でももう一周ある。1コーナーの電光掲示板をちらりと見ると49秒7。あれ〜前の人のラップタイム表示がそのまま残ってるみたいだな〜。まーいいや。などと勘違いしながら2周目に突入。
今度はきっちりコーナーに突っ込むぞ!!と決意したものの・・・左足が言うことを聞かず、意思よりビミョーに早くブレーキングを開始してしまう(笑) それでも1周目よりはましでコーナリングのリズムはいい感じになってきた。あとは練習と同じく丁寧なアクセルワーク!! タイムを出そうとアクセルオンをあせればマシンは暴れ、前に進まない。そーっと、そーっと。どうやら新しいシャフトにしたのも正解だったようで、コーナーからの立ち上がりがスムーズだ。
そしてコントロールラインを通過。電光板を見る。49秒708!!そしてゼッケン27が一番上に!!!!
思わず
キタ━━━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━━━━━!!!!
と叫んでました(笑&実話)
ピットロードでチームのみんなにサムアップで答える。ガッツポーズは勝ったときだけだ。
車検を受けている間に最後の組が走り終わり、なんと暫定の1位。
タイトラトップ!!
なんという甘美な響き・・・(ウットリ)・・・そうフレッシュタイヤで1台1台アタックするタイムトライアル。トップを取ることは、まさに速さの証明。エンジン、シャーシ、ドライバーすべてが最高のパフォーマンスを発揮した証!!
一発の速さがないといわれつづけてきた俺にとっては優勝に匹敵する勲章なのだ(ちょっと言い過ぎ?)。
全日本での今までのベストは2位だっただけに、初の快挙(笑)に応援部隊のみんなもびっくり。でも一番びっくりしたのは本人かも。パドックは優勝したかのようなお祭り騒ぎになって握手ぜめ(笑×2) 超うれしかったです。
昔の俺だったら「まだ勝ったわけでもないのに浮かれてなんかいられない」なんて思ったものだが、この後何があるかわからないし、「今のうちに浮かれとけ」なのです。
予選第1ヒート(12周)
全日本でのポールでのローリングは初めて。でもここはホームコース。全日本に上がる前は幾度となくやったので懐かしい。実際、レース前にイメージしていた、’97年地方選手権最終戦のことが思い出される。
隊列を整えるのは面倒だったので結構速いペースでローリングしたが、台数がそれほど多くないので2周目でそろいスタートが切られた。
前回ハルナのスタートがよくなかったのでちょっとスタートのやり方を変えたのだが、加速はまあまあよかったと思う。SUGOはイン側がかなり有利なので、ホールショットは楽に取れた。SUGOの場合1周目4コーナーがポイント。スタート直後は無理すればインに入れてしまうので、ここを抑えないと危険なのだ。
無事4コーナーをクリアして一安心。しかしなかなかグリップがあがらない。タイヤが冷えている1周目、つらいのはあたりまえだが、後ろに速い選手がいるかと思うといつ抜きに来るのかとドキドキだった。まあ、抜きどころはたくさんあるSUGOのコースだし、まだ1ヒート目が始まったばかり。抜かれても慌てることなど少しもないので、来るなら来いという感じでブロックは無し!!
1周目2周目3周目と電光板で2位との差を確認するが、変わらず0.2秒差。ぴったり後ろにつかれているようだ。
それというのも俺のペースがなかなか上がってこない。タイヤの空気圧の設定がやや低かったのが原因だったようで、中盤以降ペースが上がり始めると1周0.2秒ずつ差が開いていく。
途中から監督の指示でタイヤ&エンジン温存作戦に切り替え。
結果的には2秒という大差をつけてのトップチェッカーとなった。
予選第2ヒート(12周)
第2ヒートは午後2時頃。
一日で一番気温が上がる、つまり路面温度が高い時間帯だ。
エンジンをセカンド登録エンジンに積み替える。マシンの挙動に大きな不満はないが、序盤のペースが遅いのが不安要素だ。第1ヒートではタイヤの空気圧がやや低かったようだが、気温の上昇分を考慮し、少しだけ空気圧を下げて望んだ。
スタートではセカンドグリッドの選手がローリングでストップ。そのため4番手スタートの選手が速めにアクセルを踏んで加速良く1コーナーに突っ込んでいく。ややかぶせられそうな危ない場面だったが、イン側有利なだけにふんばってトップを固持。しかしマシンの動きがいまいち良くない。
終わってからわかったのだがヒート終了後でも設定した空気圧まであがっておらず、つまりエアが低すぎた。
1周目13コーナーでミスってしまい、14コーナーのインを突かれるが、コレもなんとかぎりぎりでかわして1周目をトップで通過。
タイヤのエア圧が低いために第1ヒート以上にペースの上がりが遅く2位を引き離せない。
そして、もうひとつ結構大きいメカトラブルが気づかないところで発生していたのだった・・・。
中盤以降ペースは少し上がってきたものの、2位を振り切ることができず、しかし抜かれもせずで何とか苦しい2ヒート目もトップで戻ってきた。
気になるタイヤの磨耗は、ペースを落とすことができなかったため、余り芳しくなかった。しかし、他の選手も苦しい状況は同じのようだった。
これで予選ポイント200点満点。これも自身初となる決勝ポールポジションをゲットだ!!
決勝(24周)
決勝は4時10分スタート。日もやや傾き始め、若干涼しくなってくる時間帯。
マシンのセッティングはOK。エンジンはメイン登録エンジンに戻しばっちり(ただし第2ヒートがちょっと遅かったのはエンジンのせいではなく、トラブルのせいだと後で知るのだが・・・)。
ポイントはタイヤの空気圧の設定。決勝直前まで前日のデータ等とにらめっこしながら悩み、監督と相談してやっと決まった。
スタートの混乱がなければ、後は2位スタートの選手とのマッチレースになると予想。
作戦としては、いろいろな状況を考慮の上、やや前半勝負、先行逃げ切りのセッティングを選択した。
決勝のスターティンググリッド。
ポールポジションに立つ自分・・・。実に久しぶりだ。
「ここは自分の定位置だ」伸び盛りだった頃はそんな風に思ったこともあったなぁなんてことをグリッド上で思い出したりした。やっとここに戻ってこれた、そんな気分だ。
優勝に一番近いグリッド。嫌でも優勝を意識させられそうだが、意外にもそれほど結果に固執しない気持ちになっていた。今まで少しずつ培ってきた自信と、素直なハンドリングに仕上がったマシン、そしてとにかく速いエンジンが不安を忘れさせ、走ることに集中させてくれたのだと思う。
地元だけに、決勝前にいろいろな人から「応援してるよ」「がんばってね」と声をかけられた。普段余り話さない人にもだ。こんなにチーム員以外の人に応援されてると実感したことは今までなかった。こんなに期待されてると思うと、時にはプレッシャーに感じてしまうこともあるが、このときは素直にうれしいと感じた。
若干固さはあったものの、地に足はついている。そんな風に自己分析しつつ、レース時に心がけるべきことを思い出して、自分に言い聞かせながらグリーンフラッグを待っていた。
3分前、2分前、1分前、30秒前・・・最前列の眺めは実にイイ!!(笑)
そしてローリングが始まる。エンジンがかかった。ヨシッ!!
しかし、2〜3コーナーに差し掛かったとき・・・・「!? ヤバイ、フロントが入らない」と感じた。
なぜ?原因はなんだろう・・・ セッティングは変えていない。可能性があるのは左右を入れ替えたタイヤのバランスがちょっと崩れたか、路面が変わったか、タイヤが温まっていないだけか、それともタイヤが減ったからか・・・・。
たぶんタイヤの磨耗によるものだとは思うが、第2ヒートのときよりだいぶ悪くなった気がする。
そうでないとしても、できることはできるだけ早くタイヤを暖めることくらいだ。
ローリング3周の後ついに決勝のスタートが切られた!!
加速は問題なく1コーナーをトップでクリアー。しかし2〜3コーナーに差し掛かってやはりフロントが入らない。
わずかに狙ったラインを外れ、アクセルを踏むのが遅れる。4コーナーヤバイ!!予選よりもきつめにインを閉めて進入。インに入ってくるマシンも突っ込んでくるマシンもなく、無事4コーナーを抜ける。が、この動きではいつ抜かれてもおかしくない。とにかく1周目の混乱で落ちていくのだけは嫌だ!!と、ここは意地で各コーナー牽制やブロックをして1周目をおえる。しかし後で聞いたら、1周目そんなに後ろからつつかれていたわけでもなく、むしろ少し離れていたらしい。
そんなことを知らない俺は必死で逃げる。1周目終了時点で、電光掲示板に出た2位との差は少しあったようにも思ったが、それはそれ。たいした差ではないし、早くペースをあげないとすぐ煽られる。
マシンの動きは相変わらずフロントの入りがいまいちでコーナーリングスピードを落とさざるを得ない苦しい状況。ペースをあげようとするが、狙ったラインをはずしてしまう。とにかくあせらないで丁寧な操作を心がける。抜かれたらそのときはそのときだ。
2周、3周と走るが、後ろに他のマシンの影はちらつかない。
電光掲示板に出る差も開いているような気がする。
だけど、監督から”がんばれサイン”が出ているし、きっと後ろに迫ってきているか、速いドライバーが離れたところから追い上げてきているのかしているんだろう。もっとペースをあげなければ・・・とあせる気持ちを抑えながらドライビングに集中する。ブレーキは突っ込んで突っ込んで、でもステアリングとアクセルは丁寧に丁寧に、滑らかに滑らかに・・・。実は今回FSAの選手の走りを見ていて違いに気づいたのだ。そのイメージを思い出してひたすら実践。
4周目あたりからペースがあがって安定してきた。まだがんばれサインが出てる。ん?抑えろサイン?またがんばれサイン??? なんだか後ろに他の選手がいるのかいないのかだんだん気になってきた。でもなんか後ろ見たくない。でも気になる。
7周目、やっと納得がいくラップタイムまであがって、これから飛ばすYO!!って思ったら、今度はオッケーサインがでて、ペース抑えろサインになった。ん〜、まだ序盤だよ、ちょっと早過ぎない?いったい後ろはどのくらいはなれてんの?気になる気になる。よし、この周は我慢して、がんばって、次の周もペースダウンのサインが出たら後ろ見てみよ〜っと。
ってなことを考えていた。
そして後ろを見たのが8周目くらいだろうか。「OH!離れてるジャン!」やり〜〜〜!!
とりあえずエンジンが壊れないようにストレート区間の回転を抑えて走る。
でも、決勝だからもうタイヤを温存する必要もないし、インフィールド区間は飛ばしてもいいよね〜♪ってなもんだ。やっとタイヤのエア圧が良くなってきたのか(結局狙ったよりも上がりが遅かったようだ)マシンの動きも良くなり、フロントの入りも少し良くなってきた分となれてきた分とで、狙ったラインをスムーズにトレースできるようになってきた。
そうしたら逆にラップタイムがあがり、監督が(゜Д゜;)←こういう顔でペース落とせサインをしている(気がした)。
それでさらに落として、オッケーサインが出た。と思ったらまた次の周にペースが上がってしまい、また落とせサインが・・・ (゚Д゚
♯)クワッ ←こういう顔で出た(気がした)。
そんなことを何回か繰り返していた(笑) 何せ尻上がりにマシンの動きが良くなってきて飛ばしたくてしょうがなかったのだった。(※ちゃんとストレートは抑えて走ってたけどね)
差がついてしまうと、今度は残り週回数が気になる。気が散るからみないようにしていたのだが、みてしまったのが残り14周・・・・ってまだ半分以上ある〜〜!! マジかよ・・・。早くおわんねーかなー・・・もう終わりでいいYOと、一瞬心をよぎったが、まてよ!! ここは地元。チーム員がみーんな見に来てる。その他の地元の人も応援してくれてる。もしかして俺、みんなの前でカッコイイところを見せてる?
俺今、カッコイイんじゃない???ハァハァ(;´Д`)・・・・・興奮してきた。そしてまたペースが上がる(笑)
ま、そんな冗談(?)はさておき、初優勝を前にしてプレッシャーで集中がぼろぼろになるんじゃないかと想像していたものだが、意外に集中が持続。
ただ、なぜだか毎ラップ9コーナーを抜けるときにいろいろな思いが心をよぎった。
ホントに勝てるのかなー?何か起こるんじゃないかな〜とか。
長かったな〜、もう大丈夫だろう、でも俺がトップチェッカー受けるとこなんて想像できんな〜。夢なんじゃないか?とか。
壊れるとしたらエンジンかチェーンだけど、どっちもビンビン絶好調だし壊れる気がしないんだけど、飛ばしちゃダメかな〜まあ、抑えとくか。とか。
一番思ったのは、会社の人に「また勝てなかったのかよ、遅いんだからいいかげんやめれば」ってよく言われたこと。茶化すつもりでいってて、当人に悪気はないようなのだが、あれが何よりも傷ついた。いくらがんばってても結果が出せなきゃ、外から見てる人にはそんな風にしか見えないんだな〜と思って。
やっと、「どうだ!勝ったぞ!」と言えるな〜と・・・。
そんなことをぐるぐる考えながらも淡々と周回を重ねる。集中が切れないのはマシンの動きが安定しているからだ。何の不安もない。ペースも抑えているので、フロントもスムーズに狙ったラインをトレース。
1周1周夢の瞬間が近づいてきている。2位の選手はヘアピンなどの折り返しのところで見えるようになっていたので、後ろを見なくても差を確認しながらペースをコントロールできる。
ペースを落としても差が詰まってこない。それがわかった時、自分の中で”勝った”と思った。たとえこの後トラブルでリタイヤしようとも、このレースは俺のものだったと言い切れる。あとはリザルトに残るかどうかの違いだけ。そう思った。
残り5周くらいからカウントダウンしてた。3周・・・2周・・・ファイナルラップ。
初優勝に目がくらんで最後の走りがぼろぼろになるなんてカッコ悪いと思ったので、きれいに走ることだけを心がけた。
3コーナーを抜けたとき「これでもうエンジンは大丈夫。石山さんも安心したかな〜・・・」と思った。
9コーナーを抜けたとき「ああ・・・ついに勝てるんだな〜・・・長かった・・・もう無理だって思ってたし最近・・・・」って思ってついに集中が切れて10コーナーでラインをはずす。
いけねーいけねー。気を取り直して残りのコーナーをクリアー。
そしてチーム員のみんながいるガレージの前でガッツポーズ!!
ついにきましたこの瞬間、初・優・勝!!
チェッカーを受けてもう一度ガッツポーズ、スタンドに向けてさらにもう一度・・・・いや〜この時を何度夢見たことか
車検場を出るとチームのみんなが集まってきて、なんと胴上げ!!
まさか自分の人生でこんな瞬間が来るとは・・・・・本当に夢のようで起こってることが現実とは思えませんでした。
勝てそうなレースを落とすたびに勝ちたいという気持ちが募り、逆に精神的な面で勝つのが難しくなっていくのを感じていました。勝てるとしたら、独走しかない。でも俺の実力ではすべてがかみ合わない限り無理。じゃあ、すべてが噛み合うときが来るのだろうか??? と思っていたのですが、まさに今回のレースはすべての要素が噛み合ってくれました。もし、こんなレースが一生に一回のレースでも、こんなにいいレースをできて、それを仲間に見てもらえて、いっしょに喜んでもらえて、最高に満足です。
応援してくれた皆さん、手伝ってくれた皆さん、差し入れしてくれた方、ビデオをとってくれた方、写真を送ってくれた方、本当に本当に、ありがとうございました。
今回、メカがいないということで、休みを取ってメカをしてくれた裕之君ありがとう!!
土曜日に裕之君がこれないということで、自腹で栃木からきてくれた入江さん、ありがとうございます!!
去年のおととしと、ずっといっしょにレースを戦ってきてくれてありがとうございます!!
去年の最終戦以来いろいろと手伝ってくれている大西君ありがとう!!
FSAのメカの仕事の合間に走りを見てアドバイスしてくれた高須さん、ありがとうございます!!
なかなか結果を出せないのにずっと応援してきてくださった松堂社長、そしてEIKOの皆さん、ありがとうございます!!
そして、ドライバーとしてのすべてを教え、育て、サポートしてくれた石山さん、長らくお待たせしてしまいましたが、本当にありがとうございました!!!!!
終わりに・・・
今年も多くの協力をいただいています。
フレーム(ARROW AX8):EIKOモータースポーツサプライ様
タイヤ:ブリジストン様
オイル:ワコーケミカル様
プラグ:NGK様